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惚れて通えば千里も一里

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スカーレット・クロス 隠されし月の誓約(ネタバレ注意) 

隠されし月の誓約―スカーレット・クロス (角川ビーンズ文庫)隠されし月の誓約―スカーレット・クロス (角川ビーンズ文庫)
(2004/09/28)
瑞山 いつき

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はじめは『陰月の誓約』にしようとしたのですが、珍しく担当様に止められました。
一巻目の『混ざりものの月』と似た感じで、『隠されし月の誓約』はどう?と、訊かれ、そちらにさせていただきました。

『隠されし月』はギブやヨセフのことを暗喩しています。二人ともそれぞれ祖父や父親とのつながりを隠された存在なので。誓約はツキシロとギブの約束でもあり、ヨセフとエヴァの約束でもあります。



黒幕っぽい感じで演出しつつ、あっさりヨセフに殺されたガイ枢機卿。

全体的な名前の意味を組み合わせると、『神に選ばれた黒い指導者』となります。

某全プレ冊子をお持ちの方で、なおかつ勘のいい方はご存じでしょうが、彼はヨセフの実の父親です。でも、ガイ枢機卿はそのことを知りませんでした。

ちなみにガイ枢機卿の上司の愛人がヨセフ母の設定でした。お互いに立場があるので、略奪愛というほど激しいものではありません。でも陰でこっそり愛を育み、ガイ枢機卿が一緒に逃げようと覚悟を決める前にヨセフ母に妊娠発覚。腹のヨセフのため、ガイ枢機卿の立場のために、ヨセフ母は一人でそこから逃げだし、ガイ枢機卿は元々熱心な教徒だったヨセフ母が、とうとう自分の立場に耐えられなくなって一人で逃げだしてしまったのだと思いました。その後、ヨセフ母は逃げた先でヨセフを出産。ガイ枢機卿は謀計術を駆使して下克上。それでもヨセフ母の敵を取った気分になれなかったガイ枢機卿は、脇目もふらずに出世街道を爆走していきました。

ページ数の関係と、そして主役はあくまでギブとツキシロであるということで作中ではまったく触れなかったのですが、こんな裏設定だけはありました。

赤毛は劣性遺伝なのですが、赤毛にしてしまうとあからさまだと思い、作中でのガイ枢機卿の容姿は『赤みをおびた金髪』と表記しています。さりげなく顔の輪郭とかもヨセフと同じように表現しているのですが、そのほかにそれらしいヒントは本書の中では書いておりません。

というか、内容が暗かったので作中で描くつもりははじめからなく、自分が納得するように作った裏設定です。あと、担当様に「知る人ぞ知る設定でもいいんじゃない?」と言ってもらえたので、裏設定に徹しました♪



法王の名前は実際に女性関係で有名だった某宗教のトップの名前をいただきました。ペトロは聖人から。ファミリーネームは聖十字のことです。

嫁というか、公然の秘密とされている愛人は隣の国の大貴族の娘(出戻り)でした。金と権力と策謀を駆使して順調に出世するも、ユリア誕生。自分の姪御だと権力の通用する修道院に入れてもよかったし、同じように貴族社会で育ててもよかったのですが、ユリアには祓魔能力がありました。そうなると祓魔師の教育施設に入れねばならず、そこでは世俗の権力は通用しません。当時は法王ではなかったし、親戚だからと面会するのも限度があるし、あまり頻繁でもよからぬ噂を立てられる。結果、法王はほとんどユリアと会いませんでした。ユリアは父親の存在に勘づいてはいましたが、だからどうこうという意識は持てませんでした。

ユリアがウォール村の司祭になったのは彼女の実力で、法王は一切手を貸していません(当時枢機卿にもなってないです)。でも、彼女がどこに就任したのかは知っていましたし、女性であることを理由に教会内で反対した一人でもありますが、歴然たる実力と何よりも「反発されたら逆にやりたくなるユリアの強い意思」により、就任が決定しました(笑)



元祓魔能力者の名無しの文官は……最後まで名前をあげようか迷ったキャラですが、登場キャラが多いし名無しのままでも逆においしいだろうと担当様と相談した結果、ああなりました。

レオンがもしそこにいたら、彼の存在をどう思ったかな?と、当時ちょっと考えたのを覚えています。

まあ、本人はもう腹をくくっているから、少し昔の自分を思いだすだけで終わりそうですけどね。もううらやましいとは思わないでしょう。



この巻でファースト・シーズン終了です。

そしてヨセフとエヴァの人生も終幕します。

彼はギブよりも腹の中がどす黒くて、完全に偽善者で……でも一途に自分の正義を追い求めたキャラでした。

ヨセフが魔物になってからでた犠牲者の数は『貴い犠牲』ですまされる数ではないし、無関係な犠牲者がでてくる時点で『正義』ではないです。本人に言わせれば、お綺麗な言葉で誤魔化してほしくもないでしょう。

でも『キシュラヤ教をこの世からなくすべきだ』というのは、ヨセフにとっての『生きる目的』であったことには変わりないです。

一線を越えてしまったからヨセフの存在は『悪役』になってしまいましたが(そもそも悪役とはそんなものですが)、でもギブも一歩間違えばヨセフと同じ道を選んだことでしょう。

神がいないと絶望した聖職者は《神の子》に殺されて終わりました。

でも、ヨセフもエヴァも後悔はしてないし、できなかっただろうなと思います。

Category: ビーンズ文庫裏話

Tag: スカーレット・クロス裏話 
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